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スレッドNo.5366

手と手は  月乃にこ

手と手を繋ぐ                  
誰かと手を繋ぐ
手を繋ぐとどうなるか
それを知ってしまったから
誰かと手を繋ぎたくなる

手を繋ぐために
差し伸べる手
誰に手を差し伸べるのか
誰かが手を差し伸べ返す
差し伸べられた手を
繋ぎ返せるのか
躊躇するのは何故なのか
繋ぎたい手は誰の手なのか

手をほどく
いや、手を振りほどかれた
せっかく繋げた手を
振り払われた
手を繋いだらどうなるかを
知っていたはずなのに
繋ぎ続けられなかった
手をほどいたら温もりが消えて
途端に震え出す手

手で顔を覆う
指の隙間から嗚咽が漏れ
頭の中で繰り返される
何故 何故 何故
けれど、胸の奥の方では確信している
先に手を緩めたのはどちらなのかを

手を胸に当てる
とくとくと
心臓が打つ音を感じない
冷えきった手だから
拍動は伝わってこないのか
息を大きく吸い込んでみる
さほど胸は膨らまない
肋骨の存在だけが冷めたい手に食い込む
滑らかではないぼこぼこした胸を
手で擦る
冷え切った手に温もりが戻り
感じなかったはずの鼓動に気づけるだろうか

手を組む
胸の前で手を組む
願いよ叶えとばかりに
きつく手を組むと
置き去りにした胸の奥の確信が目を覚ます
手を緩めてもよかったのだ
手が離れてもよかったのだ
思う存分悲しみを味わった
それで十分だ
と骨の下から声が発せられ
きつく組んだ手の中で熱が生まれる
手の中に籠ることを好しとしない
生まれでた熱は身体中を巡り
手を組むという意味は変換される
願いではなく
祈りへ
ただただ祈るだけで
生まれる安寧
手を繋いだ時に感じた
安らぎと悦びが甦る
思い出したその手は
繋ぎたかったあの人の手

手を広げる
遂に願いが叶えられたので
組んでいた手をほどいて
天に向けて広げる
太陽の熱をも吸収するために
手を広げながら
手を繋ぐことを否定しない
悦びを拡散するために
手を広げる
手を広げなければ
誰も胸に飛び込んではこない
手を広げなければ
自由に飛び立つことはできない

再び手と手を繋ぐ
互いの手の形 手の大きさ 
手を握る力が変わっても
互いに握り返し
絆が熟れる

手を繋ぐ
誰と手を繋ぐか
誰と手を繋ぎたいか
誰と手を繋いできたか
もう一度振り返ってみる

編集・削除(編集済: 2025年03月25日 18:18)

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