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スレッドNo.5400

評ですね。3月14日~17日ご投稿分


「地図を創る」荒木章太郎さん
荒木さん、こんばんは。お待たせいたしました。
だれかのために地図を創り続けてきた「俺」は自分の地図を創ろうと決意したのですね。この作品は、俺の地図創る、という趣旨で在り、また内容的にも壮大なことを書かれているのですが、ちっとも力みを感じません。それがとてもよいところだと思います。これはすごく荒木さんらしくて個性的です。それがもっと良いところだと思います。ユーモラスだし、最終連への展開も納得できました。
ただ、推敲がちょっと足りなかったかもしれません。どうだったでしょう?荒木さんの(頭の)回転速度が速くて、ゆっくりしていたらおいていかれちゃった、みたいな感じが少しあります。それがもったいないなと感じました。言葉の重なりとか意図の伝わり方とか、音読してみて少し推敲してみてください。たとえばですが、3連目、「空を眺め星を繋げる/考えてみたら/あのひつじ雲のように」とあります。空を眺め星を繋げる→夜をイメージしていたけれど、ひつじ雲であら昼間だわ!というような調子です。この場合、空、が昼の空だったのかもしれませんが、伝わりにくいかもしれません。足し算するか引き算するか、どちらがより荒木さんの描きたい世界に近づくのかいろいろやってみてくださいね。

「れんげ畑でつかまえて」上田一眞さん
上田さん、こんばんは。お待たせしました。
上田さんの作品をたくさん拝見しているので、私の中ではみいちゃんはすでに可愛らしい姿ではっきりと存在しています。今回はまだまだきっととても小さなころのみいちゃんだったのかなと想像しました。
さてこちらはついサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」と重ねてしまうのですが、真逆の無邪気な世界が広がっていました。れんげという可憐で素朴な花とみいちゃんの無邪気さ、春、なにもかもが明るく、あっけらかんとしています。そんな中で「めくるめく」だったり、れんげ畑でのトイレだったり、ハチにお尻をさされたり、無邪気さにほんの少しだけ色っぽさも加えられたのかなと私は感じたのですが、考えすぎかもしれません。もしもそうだとしたら、上田さん自身が「ここまでならいいかな」と手さぐりされたかもしれませんね。佳作一歩手前です。
ここからは好みの問題なので参考までに読んでくださいね。この作品は①兄目線で語られているストーリー部分②みいちゃんの言葉③兄の言葉と3つにわかれています。誰かの感じたことを書けるとしたら①の部分になるので、ここにお兄ちゃんの感情がほんの少し入るとよいかもしれないなと思いました。淡々と描かれたと思いますし、それによってみいちゃんのかわいらしさが引き立ちますが、お兄ちゃんがみいちゃんを愛おしいと思うような一瞬があったはずでそれを彼の言葉で聞いてみたいななんて感じました。

「旅立ちの日」こすもすさん
こすもすさん、こんばんは。お待たせしました。
のどかな駅の朝の旅立ち、春だもの、と思いながら読ませていただいていたのですが、「私」はやり切れない思いを心に持っていることがわかります。読んでいる私の心にも緊張が走り、ここからは緊張感をもって最後まで一気に読ませていただきました。何があったの?と一瞬サスペンスを想像しましたがそれは考えすぎだったようです。けれど、「私」にとってはこの旅立ちがきっと本当に予想外の大きな出来事だったのだなと伝わってきました。そうですよね。誰にも告げず町をでていくのですから。
こちらの作品は淡々と書かれていて、作品の真ん中に当たる四連目だけに主人公の感情が現れます。そのコントラストがとてもよかったです。もうほんの少しだけ主人公の気持ちが最後に加わってもいいかもしれません。佳作一歩手前です。

「ヒヤシンスの家族」津田古星さん
津田さん、こんばんは。お待たせしました。
すごい!すごいですね。びっくりしました。壮大なストーリーです。こんなことが起こるんですね。
こちらさらさらと読めますが、実は結構複雑な構図を描いてらっしゃいます。それが破綻なくはっきりとつたわってきて、私の頭の中にはその位置関係や感動が伝わってきました。まずそれが素晴らしいと思いました。同時に、33年間という長い時間の親子の機微や幸せの形も伝わってきます。それもとても素敵ですね。佳作です。直すところはないと思いますし、ライトタッチで最終連もさりげなくまとめられているところがとても良いと思いました。
ヒヤシンスの種はしらなかったので調べてみましたが、種が落ちて球根に育ち花が咲くまでは葉っぱしか出ないそうです。6年くらいかかってようやく花を咲かせるまでになるとか。放っておいたことが功を奏したのですよね。このこともなんだか子育てにつながっていくような素敵なエピソードです。私は花が終わると花の茎を剪定してしまうのですが、もう絶対に剪定しません。そしたらこんな風に素敵なサプライズがおこるかもしれませんね。

「次の千年紀を生きるあなたへ」上原有栖さん
上原さん、お待たせしました。こんばんは。
この作品の面白さは、次の千年紀がいつなのかという視点の置き方を変えられることです。この手紙を書いた人はもしかしたら今書いているのかもしれません。これが一般的かな。すると3025年を生きているあなたへ、だから、1000年後のあなたへ当てています。実際には1000年後の地球がどうなっているかわかりません、人類が滅亡していることの方がずっと現実的かもしれない。それは明日かもしれないしあさってかもしれない、というのは大げさですが、そんな風に考えると、この手紙は1000年前から来たものかもしれないと考えることができるんですよね。いつの世を生きる人も虚無感や絶望、悲しみを抱きながらも、愛情を持ち続けているのかもしれないなんて思わせてくれる作品でした。とても良い作品です。佳作一歩手前です。
少し細かく推敲してみてください。ほんの少しだけ引き算してみるとよいかもしれません。たとえば、三連目の冒頭、私が縦に二つ並んでいますが、最初の「私は」はなくてもいいかもしれません。それによって、絶望している、という言葉が際立ちます。こんな感じで細かくやってみてください。1000年後、この手紙を読んだ人からどんなお返事がくるのか私も楽しみになるような作品でした。

「谷川では瑠璃色の美しい鳥が朝を告げる」森山遼さん
森山さん、こんばんは。夜も更けてきました。
この作品は昔話とか民話とかそういったテイストですが、( )でくくられた部分、特に前半の時間の流れを差している部分がとても素敵でした。佳作一歩手前です。とても面白かったです。そのうえでちょっと細かいことをひとつだけ。三連目の(今日一日の~)ですが、これは月の光を表しているとおもいます。今日一日の天啓、のところで夕陽のことかなと思ったのですが、谷から山々にのぼっていくとあるので月だろうと思いました。ここがすんなりと月だとわかるようになっているととても良いと私は思います。
それから脚注ですがこれは末尾にもっていくとよいとおもいます。途中にあると物語が遮られてしまうことがとても残念です。

「花」樺里ゆうさん
樺里さん、こんばんは。お待たせしました。
とても共感しました。よく原っぱや海岸で枯れ草を見ますが、よく見るととても美しい形をしています。花もついたままでそのままの姿でただカラフルな色を失っているだけです。オーガニックな姿はとても美しいことに私もここ数年の間で気づきました。だから、樺里さんの視点がとても素敵だなと思っています。これは、人にも当てはまりますよね。花だけのことではなくて、表面的なものばかりを気にしていたら大切なことを見失ってしまう、というメッセージのように感じています。佳作です。
ひとつだけ細かいことですが、八連ですが、花の一生は から始まるので、花弁を失ったあとも 続く、でいいかなと思いました。
良い作品でした。次から少し厳しめになります。



花冷えのころ、初夏のようだったり毛布が恋しくなったり忙しいお天気ですが、みなさま体調をくずさないように気を付けてお過ごしくださいね。

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