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スレッドNo.5409

花の咲く道  人と庸

息つくことのない季節は
だれかに話したいなにかをどんどんふくらませるが
話すことはできないので
かわりに花を咲かせる

ほかに手立てのないわたしは
今年も焦燥を漕いで道を急ぐが
花の方が速いので
至るところでさき回りをされている

 紅梅はすでに地面にもたくさん咲かせている
 草むらには青い星々が瞬いている
 雪の最後の一粒かと思ったら
  最初の花をつけたユキヤナギ
 まもなくモクレンにも灯がともるだろう

同じ痛みが何度もくりかえされるように
花は毎年同じ様子で咲く
聞こえない叫びを発しても 涙をワイパーでぬぐっても
花は見られるもの こちらを見ることはない

  ※

今日 きみたちは色とりどりの
花の咲く道を歩く
胸の花はつくりものだけれど
人々はそれを見て拍手をおくる

きみたちがこれより進むさきでは
風はどこに向かって吹いているか
みち過ぎた季節の底で息はできるか
不意に風が下から吹き上げてくる
そんななにかの意志のように
花は何度でも芽吹き出すか

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