かみしばい詩 「うみのうまれ」 三浦志郎 4/4
よいこのみなさん きょうはあつまってくれてありがとう
まずはじめに わたしが“かみしばい”をしましょう
みなさん よくしっている「そらとうみ」 そんなおはなしですよ
では はじまり はじまり!
<ピアノ伴奏 曲・荒井由実作「空と海の輝きに向けて」>
*
<1枚目>
大昔 “宇宙かみさま”が大きく世界を包んでいました
そのかみさまには”空かみさま“という子供がいました
空かみは宇宙の一番下の子どもだったのです
それで空かみはちょっと楽しくなかったのです
(僕も弟が欲しいよ)
<2枚目>
ところで
宇宙には“地球”という生まれたばかりの星がありました
でも その星は“地球”という名前のとおり
地面だらけでまっ茶色
つまらない星だったのです
<3枚目>
宇宙かみはその星を見つめ悲しく思いました
空かみを呼び寄せ言うのです
「空や あの星をきれいにしておやり」
「はい おとうさま でもどうやって?」
「さあ それはお前自身で考えておやり
お前なら きっとできるだろう」
<4枚目>
(あの星をきれいにしてあげよう)
(あの星に僕の弟を作って住まわせよう)
空かみはいろいろ考えます
でも なかなかいい考えが思い浮かびません
そのたびに辺りは明るくなったり暗くなったりします
<5枚目>
ちょうどその時
太陽かみが通りかかりました
「太陽さん 何かいいお考えはないですか?」
太陽は答えます
「あなたはわたしが羨むほどに良いものをお持ちじゃないですか
わたしとは全く逆のものですよ」
そんな言葉を残して すたすたと行ってしまいました
<6枚目>
(僕が持っているもの 何だろう?)
(天気なら持ってるけど……太陽さんと逆のもの?)
(う~ん う~ん う~ん……あ そうか!!)
<7枚目>
雷のようにやっといい考えが閃きました
空かみはそこら中を駆けずり回って
雲をいっぱい集めてきました
そして雲という雲を絞りに絞りました
「よいしょ よいしょ!」
<8枚目>
絞られる雲はたまったものではありません
はた迷惑です みんな困った顔をしています
でも 空は神の子ですもの
しかたありませんね
その雲のお水を地球に振りかけていきました
「シャア シャアー お水よ お水 いっぱい降って!」
<9枚目~10枚目>
すると まあ 不思議!
地球に多くの水たちが
降り注ぎ
貼り付き
育ち
くぼんだ所にどんどん溜まっていきます
地球に住むことになったのです
地球を水で磨き飾ったのです
すると地面もかえって美しく
浮かんで見えるのでした
地面に降る水は
雨と呼ばれるようになりました
<11枚目~12枚目>
この星がきれいになり
自分の願いが叶ったことで
空かみはとても晴れた気持ちになりました
その水たちを“海”と名付けました
弟のかみさまを持ったのです
嬉しさのあまり
虹という七色の光を浮かべてお祝いしました
「やあ 生まれてくれてありがとう おめでとう
僕は“空”というかみさまさ
君は”海“というかみさまになったんだよ
僕の弟のしるしに
とっておきの色をあげるよ!」
<13枚目>
海はお兄さんの空から
水を通して美しい青をもらったのです
自分の生まれを
たいそう喜び
元気づけられ
広い気持ちになり
多くの生きものを生み出していきました
海が作る波の音は
空に届けるあいさつでもあったのです
<14枚目>
空も海も若々しいかみさまです
空と海と雨で
地球はどんどん育っていきます
こうして茶色だけの星から
青に満たされてきれいな星になったのでした
<15枚目>
実際に見たある宇宙飛行士が言っています
「地球は青かった」
その言葉通りなのです
*
どうでしたか?
たのしかったでしょ?
きょうも おにいさんのそらとおとうとくんのうみは
よびあって こたえあっているのです
おなじいろでおしゃべりしています
とてもなかよしのかみさまなのです
かみしばいはこれでおしまいですが
さあ みなさん これから
そらとうみがであうばしょにいってみましょう
そらとうみのおしゃべりをききにいきましょう