灰色の砂漠 こすもす
目が覚めると砂漠の上に横たわっていた
見渡すと灰色の砂に覆われた砂漠が広がっている
空を見上げると灼熱の太陽が高く昇っていた
太陽の光が皮膚を突き刺す
このままここにいても待っているのは死しかない
なぜ自分がここにいるのかわからないまま歩き出す
あてもないまま西の方に向かった
いくら歩いても灰色の砂ばかりだ
動物もいなければ植物も生えていない
それどころか石すらない
押しつけられるような暑さで意識が朦朧とする
朦朧としながら体が滑り落ちてゆくのを感じた
深い窪みに落ちてしまった
手で砂をつかみ登ろうとするが滑り落ちる
蟻地獄に落ちた気分だ
早く窪みから出なければという焦りが襲ってくる
どうしようもなく窪みの底で空を見上げるしかなかった
見上げていると黒い雲が空を覆いスコールのような雨が降ってきた
窪みの砂が雨で湿り固くなってゆく
湿った砂をつかんで窪みから抜け出した
日が暮れ辺りが暗くなってきた
歩くのをやめてここで休むことにする
横になると満天の星が広がっている
星たちを見ていると
生きているのではないかと思えてくる
辺りは暗闇に覆われている
静寂の中で深い眠りに落ちていった
朝になり再び歩き出す
西に向かってただ歩き続ける
太陽が昇り光が皮膚を突き刺し始めたころ高い岩の壁が見えてきた
灰色の岩が立ちはだかっている
目の前が真っ暗になる
そのとき岩の上から風が吹いてきた
かすかに潮の香りを感じる
潮の香りを吸い込むと
岩を登ろうとする気力が湧いてくる
ジグザグに登ってゆく
太陽の光が容赦なく皮膚を突き刺してくる
額や背中に汗が流れ落ちる
息も上がってゆく
それでも登り続け岩の上に立った
岩の上から向こう側を見渡す
そこはまさに別世界だ
岩の下には広大な森があり鮮やかな緑の葉で覆われている
森の先には白い砂浜があり穏やかな波が打ち寄せている
砂浜の向こうにはコバルトブルーの海が広がっている
潮風が心地よい
今までの疲れが吹き飛んでゆく
生き返るようだ
森の中にいた鳥たちが海に向かって飛んでゆく
私も海に向かって岩を駆け降りる
森にある泉で早く喉を潤したかった
風が心の砂塵を払ってゆく