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スレッドNo.5452

灰色の砂漠  こすもす

目が覚めると砂漠の上に横たわっていた
見渡すと灰色の砂に覆われた砂漠が広がっている
空を見上げると灼熱の太陽が高く昇っていた
太陽の光が皮膚を突き刺す
このままここにいても待っているのは死しかない
なぜ自分がここにいるのかわからないまま歩き出す
あてもないまま西の方に向かった

いくら歩いても灰色の砂ばかりだ
動物もいなければ植物も生えていない
それどころか石すらない
押しつけられるような暑さで意識が朦朧とする
朦朧としながら体が滑り落ちてゆくのを感じた
深い窪みに落ちてしまった
手で砂をつかみ登ろうとするが滑り落ちる
蟻地獄に落ちた気分だ
早く窪みから出なければという焦りが襲ってくる
どうしようもなく窪みの底で空を見上げるしかなかった
見上げていると黒い雲が空を覆いスコールのような雨が降ってきた
窪みの砂が雨で湿り固くなってゆく
湿った砂をつかんで窪みから抜け出した

日が暮れ辺りが暗くなってきた
歩くのをやめてここで休むことにする
横になると満天の星が広がっている
星たちを見ていると
生きているのではないかと思えてくる
辺りは暗闇に覆われている
静寂の中で深い眠りに落ちていった

朝になり再び歩き出す
西に向かってただ歩き続ける
太陽が昇り光が皮膚を突き刺し始めたころ高い岩の壁が見えてきた
灰色の岩が立ちはだかっている
目の前が真っ暗になる
そのとき岩の上から風が吹いてきた
かすかに潮の香りを感じる
潮の香りを吸い込むと
岩を登ろうとする気力が湧いてくる
ジグザグに登ってゆく
太陽の光が容赦なく皮膚を突き刺してくる
額や背中に汗が流れ落ちる
息も上がってゆく
それでも登り続け岩の上に立った

岩の上から向こう側を見渡す
そこはまさに別世界だ
岩の下には広大な森があり鮮やかな緑の葉で覆われている
森の先には白い砂浜があり穏やかな波が打ち寄せている
砂浜の向こうにはコバルトブルーの海が広がっている
潮風が心地よい
今までの疲れが吹き飛んでゆく
生き返るようだ
森の中にいた鳥たちが海に向かって飛んでゆく
私も海に向かって岩を駆け降りる
森にある泉で早く喉を潤したかった
風が心の砂塵を払ってゆく

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