オニヤンマ おおたにあかり
開店準備が終わり
レジの前に立った時
すぃーっと飛んできた
大きなとんぼ
田舎育ちのわたしが
うわって言うくらい大きな
何処から入って来たのだろう
窓を開けていたかな
ここは入りづらい
二階の店舗なのに
ふと思い出す
前もこんな事あったなあ
あの時も大きなトンボに
おおさわぎして 逃げ回った
「秋を知らせるトンボだよ
それに昔の人はね、
先祖が帰ってきたって
有り難がったんだよ」
って優しく捕まえて
外に逃がしてくれた人が
いた
すぃーっすぃーっと
店内を見回るよに
円を描いてるトンボ
向こうからお客様の呼ぶ声
返事をしながらそちらへ走る
トンボはその間に
どこかにいってしまっていた
「コレ、オニヤンマていうんだよ」
得意気に教えてくれた
あの人の笑顔がまた浮かんで
すぃーっと
消えていった
何も後には残さずに