またね 白猫の夜
貴女が私を見なくなって
久しく経ったある日のこと
貴女はあっと言う間に首を括った
息絶えようと一生懸命頑張った貴女の
首に巻き付く縄をほどいて
羽のように軽くなった貴女を
埃を払った床にゆっくりと寝かせて
込み上げてくるのはどす黒い怒り
怒髪天を衝く程の憤り
食い込んでいた縄の痕に
ぎゅっと眉根を寄せて息を吐くの
淀んだ空気に混ざる
貴女の残り香に
うすらと微笑みが浮かぶけど
それもきっと薄れていって
世間は貴女を忘れてしまうのね
私の唯一は貴女だけ
貴女が笑えない世界なんて
さっさと滅びてしまえばいい
だけど
だけど貴女は
こんな世界を愛してしまうの
愛してしまって
疲れてしまって
どこにも居場所がなくなってしまったの
だからね わたし
待っているわ
貴女が再び世界に来るまで
私は貴女の友人だから
貴女だけの特別だから
イマジナリーフレンドなんて大人は言うけど
友人であることに変わりはないの
だからね わたし
待っているわ
貴女が再び笑いかけてくれるのを
元気な産声をきける日を
心の底から待っているわ
今はおねむり
愛しい人