冬の旅は寒さで凍り雪道に馬車は止まる
冬の旅は寒さで凍り雪道に馬車は止まる
(血色のいい娘はセーターをを編む 小鳥の声を聴きながら)
はるか向こうに見える山そこに宿屋があるらしい 氷の女の家。そこへ行くしかないのか。
(娘は散歩する 冬の庭 小鳥は軽やかに飛ぶ あの方はいまどこにいるかしら)
家来はいぶかる氷の女の屋敷は帰ったものがいない
(娘は踊るように思うあのかたこのセーターを気に入ってくれるかしら)
殿様は言う家臣よ寒い着るものはないのか
(娘は夢見る、春になってこのセーターを着たあのかたと踊るのを)
殿様は思うあの娘がいてくれたら、暖かくなって氷の女のところなどへ行かなくて済んだのものを
(娘はとび色の衣を着て窓辺で殿様のことを想いながらお茶を飲む。なぜかお茶に一滴の血がにじむ)
殿様は馬車の中で、あまりの寒さで凍傷にかかる
(娘は不吉なことにびっくりする。殿様に何かあったのかしら)
殿様は家来に命令する、あの氷の女は、魔女だ。あの女をひっとらえよ。
氷の女は美しい血色のいい娘と、体を入れ変えることを呪文でとなえる。
(美しい血色のいい娘は、どうしたのか、顔色が悪くなり、血の気も失せる)
殿様は言う、早くあの女を成敗せよと。家来が言う、殿様火急のふみがございます。
娘が、急に身まかってございます。
ああ。あの氷の女が、娘を道ずれにしたのじゃな。
いまとなってはしょうがない。ええい。この里のすべてと言うすべてを焼き払え。娘よ天上に!
(天上に行く娘は思う。ああ なんて暖かいのでしょ春のセーター,もうすぐあの方が
元気に帰られる。わたしは、なんて幸せなのでしょう。)