貨物列車 こすもす
ある日の夕暮れ
仕事帰りの乗り換え駅
電車は少し遅れていた
風が頬をなでる
ホームで電車を待っていると
反対側のホームに貨物列車が入って来た
列車は駅に止まらなかった
機関車が轟音をたてて走る
機関車の後ろには車両が長く連なっていた
古い車両はみなどこか錆びている
連結器の軋む音が響く
ゆっくりと目の前を通り過ぎてゆく
最後の車両がはるか向こうに見えた
通り過ぎる列車を見ていて気づく
積まれているコンテナが数えるほどしかないことに
線路と並行する道路がある
大きなトラックが列車を追い越してゆく
トラックは視界から消えた
「時代の流れなのか」
最後の車両が通り過ぎる
機関車が警笛を鳴らす
「叫んでいるのか」
時代に抗うように列車は走る
列車は次第に小さくなってゆく
駅に静けさが戻る
西の空が赤く染まっていた
夕日が沈みかけている
風がやけに冷たい
辺りには寂寥感が漂う
待っていた電車がホームに入って来た