看板 晶子
なんで一番大切だと思って
赤で書いた文字が
真っ先に消えてしまうのだろうね
日に炙られ
風に吹かれ
雨に降られ
もう留まっていることさえ難しい
剥がされることさえ忘れられた看板
伝えたいことは伝えられたかい
今はもう通り過ぎる人達に君は見えなくて
剥がれ落ちればゴミになってしまうね
せめて作ってくれた人にお別れを言いたいけど
大切な赤い文字が消えて
恥ずかしくて
情けなくて
会えなくなっちゃったね
小ちゃい文字まで読んでくれたら
もしかしたらわかってもらえるかも知れないけれど
もう消えたものが大き過ぎて
君でさえ君を疑って
消えたいって願ってしまったんだね
それでも君が貼り付いていることが当たり前の道だったんだよ