まるい夜 朝霧綾め
赤い夕焼けのあとには
大人びた濃紺の夜がくる
やさしい夜につつまれて
人々は静かに目を閉じる
夜は、おかあさん
私たちはその子供
夜がくると
平等な、まるい世界になる
おかあさんは、子供たちを
同じくらい愛している
ふかふかのベッドで眠る子も
路地裏のコンクリートで眠る子も
羊の番をしながらまどろむ子も
みんなみんないい夢をみる
夜はどんな子にも
かならずいい夢をおいていくから
安らかな寝息を聞いて
夜が微笑みながら去ると
まぶしい朝がやってくる
朝の世界はまだ、
平等ではないけれど
すこしでもまるくするために
今日も私は学校に行く
「いってきまーす!」