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スレッドNo.5606

みどりご 津田古星

妊娠中に二度入院して
延べ60日間 
安静にしていなければならなかった
予定日より一月ほど早く生まれてきた子は
2524グラム

出産した翌日
初めて授乳室へ行くと
新生児室から移された赤ん坊たちが
横長のベッドに並んでいた
さてうちの子はどれだろうと
足首に巻かれた名前を見ていくと 
この子か
確かに小さい
隣の子の方が可愛い顔をしている
こっちが良かったのに

でも
隣の子に指を吸われて
泣きもせずおとなしくしているお人好しが
うちの子なんだ
面白い
こら 隣の子
わたしの子の指を吸うんじゃない

6日後に退院
赤ん坊は賢かった
何故泣いているか分からないということがなかった
お腹が空いたときと
お襁褓が濡れたとき以外に
無駄に泣かない
母親の体力気力の乏しいのを
知っているかのように
母親をよく休ませてくれる


目を開けている時間が増えてきても
自分の手を動かして見ていたり
窓に映る木の葉がチラチラと揺れるのを
じっと見ている

子供はわたしより
やさしくて 穏やかで考え深かった

母親よりも
生まれたばかりの新生児のほうが
ずっとずっと賢いことを
大人はみんな気づかない

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