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スレッドNo.5621

新月の踊り子  白猫の夜

夜の気配に包まれて
眠った私はゆるりと起きる
白い衣から濃紺の衣へ
黒い羽織を翻して
隠しておいた赤色の雪駄を
カランと鳴らして森へと走る

誰もいない場所へ
閑散とした静かな場所へ
ふわりと舞い始めた雪を横目に
真っ暗闇の森へと走る

そこはまるで広場のように
星が見守る洞穴のように
ぽかりと木々が口を開けて
私を天へみせてくれる

くるりと一回まわってみて
銀にキランと輝く刺繍に
雪駄は目を引くほど鮮やかに

遠い遠い西の方の
アンデルセンのカーレンではないけれど
踊るのはきっと彼女と同じくらい好きよ
誰にも邪魔されず
誰にも見つからず
ほしあかりのもとひとり舞うの

くるり くぅるり
てを伸ばせば ほら
星を掴めそう

ふわり ふぅわり
めを閉じれば ほら
歌がきこえる

るる るらら
るる るらら

大丈夫 だいじょうぶ
行儀にうるさいお祖母さまも
足を斬る木こりもここにはいないから
夜に安心して身を委ねて

るる るらら
るる るらら

ちゃんと帰る
きっとちゃんと帰るから
だからどうか朝の香りがしてくるまでは
わたしのままで過ごさせて!

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