生命について
日々の喧騒のなか
どこに
立ち止まる場所があるか
ひとは
いつ
また
どこで
宇宙と交信し
あるいは
自分を知ればいいのだろう
森のなかの静かな小道のほとりで
大きな樹木の根元に腰をおろして
樹の精のはなしを聞く
幾千年幾万年の
自然の歴史を聞く
森を吹き抜ける風と
樹々ざわめきは
ひと知れず天然の音楽を奏でる
生きている森
僕は知っています
僕の生が貧弱すぎることを
また僕が
何も知らないことを
僕は鏡の前に座り
自分の顔を映す
全く孤独で無知な
僕というひとつの静物がそこにある
それは抑圧されていて
自分ではなにひとつ気づくことがない
それは疲れていて
今やどこに向かっても旅立てない
僕は自分を知らず
生命と交信せず
常に決まりきったまま
生の表層をすべる