合わせ鏡 cofumi
夜な夜なつぶやくネットの世界は
ジェットコースターのように
次から次へと言葉が流れ
目を逸らした隙に消えて行く
夜に弱気になる自分
夜の天井に棲む化け物
夜の誘惑に負けない様に
小さな世界をスマホに求めてさ
髪を切るとか
メイクを変えるとか
変わりたいのか飽きたのか
気分を変えたいだけなのか
誰かに褒めてもらいたくて
誰かに見てもらいたくて
誰かに声を掛けてもらいたくて
自分に嫌気が差してさ
社会人なら当たり前とか
そんなの一般常識でしょとか
制服を着込んだら出る言葉
みんな変身が上手すぎる
どいつもこいつも勝手で
誰も自分のこと分かってなくて
取り敢えず合わせておけばいい
でも流れる涙はどうしてだろう
噴火に地震に放火に殺人
その後は明日の天気が流れ
お笑い見てカラカラと笑って
小さな画面が計画通りに流れてゆく
自分のことすら面倒見れなくて
一番の関心ごとは明日の生活で
世の中がどうなろうと
自分を見つけて生きたいだけなのさ
ジョンレノンもボブディランも死んで
清志郎だって魂になってしまって
幸せに見えたモンローだって
36歳で逝ってしまった
何のこだわりもないけれど
なにも形になってなくて
自分の人生はどうなんだろうって
まだ始まってさえいない気がする
カレンダーをめくるだけなのに
まるで身を削がれてる気分で
新しいひとつきをぼんやり眺めて
終わったひとつきは記憶のないままチリとなる
書き込むことなんかなくて
自分の誕生日すらどうでもよくて
本当は思い出の丸を増やしたくて
孤独だなんて認めたくなくてさ
綺麗な花に見惚れて
空を飛ぶ鳥に思いを馳せて
走り回る仔犬に目を細めて
カメラに収めて心の満足を保存する
いっときの喜びでもいい
いっときの慰めでもいい
いっときの安心でもいい
心が幸せと感じる瞬間が欲しいだけさ
大きな愛に抱かれる
母の腕の中
愛しい人の腕の中
髪に頬にキスをして
愛して欲しい
愛を感じたい
愛がなんなのか
愛し方から教えて欲しいだけさ