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スレッドNo.566

解夏 暗沢

可哀相なちいちゃん偲んで、
かげおくりをいたしましょう。
さらの紙に似た日向に立って
横一文字、四人並んで
かげおくりをいたしましょう。

いち、にぃ、さん、で瞬きこらえ
数え上げます、そのあいだ
瞬きするの、禁止です。
ずるっ子いたら、連帯責任
また、いちからやり直し。

しぃ、ご、ろく、で瞬きこらえ
なな、はち、く、と瞼ふるわせ
とおっ、と、いっせい仰向けて、
平(ひら)たいお空へ、五人のひと影
昇っていった。と思いきや

解夏のお空は丸くて高い。
中の空まで昇ったものの、
高さ届かぬ彼の子の影が
つないだ手々を諸共に
真っ逆さまに落っこちた。

土煙もなく貼り付いた
日向にべったりと、黒。黒い影。
ほくろみたいな影を前して、
賢しい子らは、知らぬ存ぜず
素知らぬ顔で、散ってった。

誰か下敷きになったわけでなし、
怪我したわけでもあるまいし。

矢庭な日向のでっかいほくろ
はじめ大人らも狼狽したが
流石大人だ、こりゃ踏んでも足は取られぬと
合点いけば、果(はて)には今じゃ日向の影も
舗装の下。コンクリートの下。

どっこい、姿失くしたのをいいことに、影のやつ
根っ子の真似してずんずん浸り
この町、あの街へと拡がって、挙げ句には
黒海染めて、チリくぐり抜け
わたいらの影を、いっそう深いものとする。

近頃影が一際重く感じられるのは、そのせいなのかもしれません。

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