MENU
1,309,278

スレッドNo.5678

4月29日から5月1日までのご投稿分の評です

2025年4月29日から5月1日のご投稿分の感想と評です。

「敗北」 森山 遼さん

森山 遼さん、今回ご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「敗北」の評を送らせていただきます。

「何者」の正体が気になる作品でした。
読む人によって「何者」の正体が違うのではないかと推察しながら
読み進めました。
主人公は果敢にも「何者」に立ち向かい食いちぎります。
「僕」は獰猛なのかと思えばそうではないようです。
恐怖に震えながら、独りで生きるのを怖がりながら日々を送っています。

<僕はすべてをめちゃくちゃにしたかったが
僕はすべてをそのままに放っておいた

戦いながらいつも敗北を予感していた

獰猛さと恐怖心の両極の中で主人公は敗北を予感します。
どうすることもできない諦めを感じます。この先の展開が欲しくなる一篇でした。
佳作一歩手前とさせていただきます、



「隣で眠る君に」 荒木章太郎さん

荒木章太郎さん、今回ご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「隣で眠る君に」の評を送らせていただきます。

初連、理屈抜きの感性の冴え。
眠っている「君」と朝を迎えた主人公の距離。
お互いが心の裏側を見せないことから感じる孤独。
主人公の心情を波の音がそっと彩ります。

<君は目覚めることのない夜に
向かっていた

とは、どういうことか。「君」は病床にいて主人公は
看病しているのではないか。「君」に残された時間は
あとわずかでもどうすることもできない自分は
叫ぶでも泣くでもなく、カエルやコオロギのように
横隔膜を震わせて、鳴き音を出す。
堪えようとしている主人公の気持ちが
読めば読むほど染みてくるものがある一篇でした。
御作佳作とさせていただきます。



「句読点」 喜太郎さん

喜太郎さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「句読点」の評を送らせていただきます。

<人はいつか死ぬ
人生は有限の物語
あなたはその物語の終わりに
何を記す?

こちらへ問いかけ、考えさせてくれます。
輪廻転生を信じる人なら「、」
もう終わりなんて信じたくない!という人なら「!」
なぜ、が残る人なら「?」
我が人生に悔いなしの人なら「。」でしょうか。
では、自分だったら…
やはり「。」が理想的かもしれません。
どのような終わりを考えるとどのような生き方に繋がります。
どんな終わりになろうと生きたいように生きることが
出来ればよいと思う瞬間もあるでしょう。
はっきり答えが出ないところが人生の面白さで。
ちなみに、最近では人生何周目か占うところもあるそうです。
これが成立すると「。」ではなく「、」である、のかもしれません。
考え出すと止まりません。わからない面白さがここにあります。
御作佳作とさせていただきます。



「空気のようなあなた」 温泉郷さん


温泉郷さん、今回もご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「空気のようなあなた」の評を送らせていただきます。

初連から「あなた」に対する愛情があふれています。
なくてはならない存在であることを表現していますが、
その一言で片づけず、具体的に伝えながら自分の本音もまぜていきます。
ここがこの詩の魅力だと感じました。甘い告白になりそうな流れに
ちょっとスパイスをきかせるように「あなた」から感じたことを
正直に話します。二人の関係の深さがわかる場面です。

<本当に具合が悪いときには
驚くほど
やさしい目をするのです

主人公が「あなた」を愛している理由がここにあるようです。
いざという時、つらいときに支えてくれるかどうかで決まることって
ありますよね。肝心なところです。

最後の連、「あなた」はただやさしくて頼りになるだけではなくて
火が付くと爆発するという危うさもあるようで、そのギャップも
魅力なのでしょう。
ユーモアと愛情が軽やかに弾んだような一篇でした。
御作佳作とさせていただきます。



「ばくバク獏」 松本福広さん

今回ご投稿くださりありがとうございます!
僭越ながら御作「ばくバク獏」の評を送らせていただきます。

夢を食べる獏が主人公の作品。やわらかい語り口なので、童話を
読んでいるような懐かしい心地になりました。
神様の命(めい)を受けて人間を夢を食べることになった獏。
人間はそんな獏を神様が余り物の寄せ集めで作ったと言い伝えます。
人間の無邪気な残酷さが垣間見える瞬間です。

神様はサンタクロースが赤鼻のトナカイを慰めるように
獏の特徴を長所として教えます。神様のやさしい眼差しが見えるようです。
獏は人の夢を食べ続けます。食べきれなくなることもあるほど。

神様が希望の夢は食べてはいけないと教えます。それがないと人は死んでしまうと。
面白いですね。希望は時に命綱のような存在になることがあるので大袈裟な
表現ではないと思いました。

最後の連、ふわりと終わるのかと思いきや、ドキッとさせる告白で
終わるところがいいですね。ここが絵本と違うところというか、詩ならではの
小さな闇。これがあるのとないのでは印象が全くちがいます。
禁断の味を知ってしまった獏の目が一瞬鋭く光ったように見えました。
御作佳作とさせていただきます。

編集・削除(未編集)

ロケットBBS

Page Top