冬の惜別
冬の一日散歩をする
こころはどこかに置き忘れていて
それを探すように
たびたび立ち止まる
「悲しいのかい」って
わたしに訊いてくれる
もうひとりのわたしは
すでにいなくて
青春はもうとっくに過ぎ去ったのだと
また知る
まるで異邦人を見るように
物問いたげに
そして幾分は驚いたように
わたしの顔をみる若い娘
壊れそうにも清く淡い
その娘の表情が
わたしに遠い昔を思い出させる
それは悲しくも甘い私の思い出
静かで少し清くてもろかった
わたしの青春
いま冬に向かって葉を落とす
樹々の間を歩くわたし
こころの柔らかを失った
「確実」なわたし
青年たちよ教えてあげよう
孤独でないから孤独の影を帯び
感じるものがないから
感じようとして
感じているようにして
わたしはこうして歩いているに過ぎないのだ
それはひどく恐ろしいことなのだ
だから
美しいあなたたちに神の祝福あれ