黄昏 - 机の上の孤独 U.
海の夢を見た
砂浜に立つ小さな小屋の前
膝を抱えて座っていた
荒れた海は
大きな波を浜に打ち寄せていた
横には、あなたの気配
あの頃
二人の幼い心は
互いの存在を信じて疑わなかった
こうして、肩寄せ合っているだけで
満ち足りていた
空はただ青く、海は穏やかに広がっていた
そして、二人の指が触れた
時が経てば、幼い心も少しずつ大人になる
当たり前のことに気付かず
いつの間にか
隣に、あなたは居ない
心の隙間に砂が入った
海が遠ざかっていく
青い空の中、嵐の前触れの風に
雲々は、千切れて夏の尾となり渦を巻く
海を渡る遊覧船が、白い泡粒を残し、うすく消えていくとき
海の底で眠っていた秋は、白い泡粒となって出てくる
私は、取り残された貝殻ように
乾いた砂の中で窒息するでしょう
胸の中に小さな氷の欠けらがある
夏の終わりの夜空で凍える星の震えは
空っぽの身体の中で、虚しく共鳴した
凍えた身体は
あの時、飲んだのと同じ
あなたの好んだバーボンで紛らわし
怪しく揺れる琥珀の液体に
焼け爛れた胸の中
それでも、氷の欠けらは溶けないのです