MENU
1,311,626

スレッドNo.5724

5月13日(火)~ 5月15日(木)ご投稿分、評と感想です。(青島江里)

【5月13日(火)~ 5月15日(木)ご投稿分、評と感想です】

☆告白  喜太郎 さん

タイトル通り、ストレートなくらいストレートな告白シーンを描写してくださいましたね。『』の後の()・・・・・・告白する側の心の声がそのまま読み手に透けて伝わってきました。言いたいけど、最悪の場合は友達関係も何もかも崩れてしまう不安も伝わってきました。

告白してからの彼女の反応。読み手からしたら、かなり驚いてしまいました。ただただ驚きの連続となるわけですが、最終行で「素直でその場行動的なところに惹かれたんだ」といまとめていることで、そうなのだなと思えるようになっているところはよかったと思いました。ただ、彼女の行動を【「私も好き!好き!大好き!』/突然に抱きつかれて/キスされてる】の部分は、本来なら、僕にとって感動的シーンであるはずなのに、読み手からすれば、流れに従っての描写ですが、早急な展開すぎて、置き去りになってしまいそうな感じのするところが気になりました。

そこで一案として、考えてみました。最終行を移動させて、最後に逆光にあたる二人の影に焦点を当ててフィニッシュする感じではどうでしょうか。また「その場行動的なところに」という表現も少し固い感じがするので、「まま」という語尾でそろえることができる、代役の言葉たちを考えてみました。

私も好き!好き!大好き!』
突然に抱きつかれて
キスされてる

そうだ
僕は君の心のまま
ありのままなところに惹かれたんだ

君の顔が逆光に包まれている
僕は直立不動のまま息ができない

何かのお役に立てればうれしいです。しあわせそうな二人の姿が印象的でした。今回は、佳作一歩手前で。



☆アクアリウム 上原有栖 さん

癒しを求めてアクアリウムをつくるという様子を思い浮かべると、夢があって楽しそうだと感じました。一連目の最後にある「桃源郷」という言葉が更にそう思わせてくれました。手作りで自分の理想郷をつくるなんて、おっしゃる通りに癒しになりそうですね。

癒しだ!と思っていると、二連目では空気が変わってきましたね。理想郷に放たれた二匹のアロワナ。存在感が半端ないです。メダカや金魚とは違う大きな魚。とても強そうです。そこからつながりの「アロワナの餌」というワード。理想郷を泳ぐ主。悠然とした姿に見惚れるというまでは、前連の空気を受け継いでいましたが、ここからは一気に、煩い上司や嫌味な先輩関連のワードが。一気に夢の世界から現実に引き戻された感がでているところ、そしてアイロニー。この詩にいい味をもたらせていると思いました。

実はこの理想郷のカラーは、癒しオーラがカラーではなくて、日頃のモヤモヤから現実逃避したいというようなカラーなのです……と、言っているかのようにも受け取れる表現の仕方でした。最終連では更に追い打ちをかけていますね。この追い打ちの表現方法が、また面白かったです。理想郷で大きな存在感を示すアロワナ。その『大きな目』によって、表向きの自分を通り越して、裏の自分の本音を見透かされているような気がすると持っていくところもよかったです。「冷たい視線で突き刺しておくれ」は、本人の誠実さや反省を感じさせてくれる表現になっていると思いました。アロワナの細い顎髭を持ってくるところ、まるで、本音の部分を感じ取るセンサーのように思わせてくれました。お上手だなぁと思いました。

アクアリウムを手作りしてアロワナを飼育しているカッコいい自分ではなく、表向きとは違う、歪んでいるように思えてしまう、カッコいいとは言い難い、劣等感のかたまりの自分を、くすっと笑えるアイロニーを織り交ぜつつ、水槽にまつわるものを取り入れながら、上手に表現されている作品だと思いました。佳作を。



☆潮風の匂いと血の記憶  aristotles200さん

初めましての方ですね。今回は感想を書かせていただきますね。

深い霧、何処に立っているのか、古びた海賊船の看板という表記から、作中の場面はこの世ではないのだなと感じました。大砲だったり、砲弾だったり、義手、義眼という言葉があるので、戦って命を落とした戦士の姿が湧いてきました。さらに、潮の匂い、四国、伊予国の生まれという言葉から、日本人であるのかというイメージも湧いてきました。

一行目にぼんやりとした背景を展開させ、無駄のない言葉で、徐々に、この世ではない世界をはっきりと明かしながら広げてゆく表現の方法が、わかりやすくてよかったです。また、血の記憶と潮の記憶を関連付けることで、輪廻転生のようなものを感じさせてくれました。

最終連では、登場人物に関する戦いについての考え方について記されており、こちらの方は、私自身が前連で感じた輪廻転生と結びつけて拝見すると、国や民についての個々の「魂」の境地について考えさせてもらえるようにも思えました。そして、何らかの記憶で、本能のようなものが感じることができる意味についても、考えさせてもらえる作品になっていると思いました。



☆饗宴  温泉郷 さん

※投稿作品中の「ダンポール」→「ダンボール」への誤記訂正、伝わっております。ご連絡ありがとうございます。

不思議な空間です。砂漠の屋敷ということですから、地盤は強くなさそう。またまた、このような辺鄙とも取れそうな場所で、人を大量に招待して、建物の二階に酒席を設けるとは、付近に砂漠のない一般庶民の感覚からすれば、珍しい光景です。身元を明かさない仮面舞踏会ということもミステリーです。また、こちらの酒席への招待客が無制限に膨らんでいくのもミステリーです。

二階は踊り狂って大騒ぎ。そして一階では、酒席を縁の下で支える方々も踊りまわるという、一見すればどの階の人間も幸せ気分なシーンを想像させてくれるのですが、一転して、二階の大騒ぎに建物の強度が耐え兼ねて、天井が抜けるという結末に。これには驚きました。このシーンで目が離せなかったのは、この天井が抜ける寸前まで縁の下で支えてくれている人々が、どうにか倒壊を防ぐために尽力するということでした。そして、倒壊はしてしまったものの、二階の客は、一階の人が支えてくれたおかげで助かったということ。さらに強調されていた「二階の客だけは・・・・・・」という点。こちらの表現は、この詩の核になっていると感じました。

この表現から、詩の周辺の意味のようなものをひらってまとめてみると、上層階級の人たちの好き勝手なマネーライフ。自分たちへの見返り中心のマネ―政策。その今だけ自分だけの元で暮らす一般庶民。好き勝手やっている顔を合わせたことのない人間に、いつのまにか、どんどん吸い取られていくもの。しかも地盤の緩い政策で国がひっくり返りそうになっているところや、真面目に働いている人間が、命の忖度をされたり、辛い目ばかりしているというようなことを、彷彿させてくれました。もしもこのような読み方が、ひとつとしてあるならば、この作品は社会の今、庶民の立ち位置を意味する作品として光彩を放っていると感じました。

ほんの少しですが、気になったのは、最終連でした。床に広がる残骸を描いてくれているのですが「美しい模様」や「怪しい光」でまとめてしまうだけは、足りない気がしました。印象に残りそうな、独自の表現の考察が必要な気がしました。抽象的な世界を通じて現代社会の現実を彷彿させてくれる異色の作品。今回は佳作半歩手前で。



                     
☆たびだち  じじいじじい さん

タンポポのタネのたびだち。川崎洋さんの「たんぽぽ」を思い出させてくれるような、タンポポの綿毛の飛び立つ様子が浮かんできました。川崎洋さんのたんぽぽは、原っぱでタンポポの綿毛を見送る子の目線で描かれていますが、こちらの作品は根を張るタンポポ自体をお母さんに見立てて描いてくれていますね。愛情たっぷりの作品。

気になったところは、全体的にひらがなとカタカナのみの短文的な書き方を連ねるような形になっているため、読み上げる時、意味を取りにくい部分が、幾つか見受けられました。単語と単語の間に空白を置く書き方をしてもいいかと思いました。例えば「あっちでもこっちでもおおきなこえの」→「あっちでも こっちでも おおきなこえの・・・・・・」にしてみたり。

もう一案としては、子供さんに読み聞かせてあげる目的を強化したパターン。もちろん内容は全く変えず、タンポポのタネさんや、お母さんが、何をするのか、動作を連の先頭に持ってきて、情景を浮かべやすくする方法です。この方法はリズム感も出てくるので、読む方も、聞く方も、また見た感じも、比較的、入りやすくなるのではないかと思います。あくまで一案です。説明文では伝わりにくい感じがしたので、実際に書いてみますネ。

「いってきま〜す!」
「いってらっしゃい」
「いってきま〜す!がんばるね!」
「いってらっしゃい!がんばってね!」

きこえる
あっちでもこっちでも
おおきなこえのごあいさつが

とんでいく
タンポポのタネさんたちが
とんでいく
しろいわたげにつかまって
おかあさんタンポポから

「きをつけてね」
「こわくないよ」
「わたげにしっかりつかまって」

しんぱいがおと
がんばれがおが
まざってる
おかあさんタンポポ

「だいじょうぶだよ」
「わたしはあっちのやまにいこう」
「ぼくはむこうのかわらにいこう」

わらってる
タンポポのタネさんたち
てをふってる
みんなおかあさんタンポポに

たびだった
おかあさんタンポポから
みらいをゆめみて
たびだった

りっぱなタンポポになるのだと
こころにきめた
タンポポのタネたち

てをふった
しんぱいがおの
おかあさんタンポポ
なみだをながしても
さいごはえがおで

そっといった
こころのなかで
「だいじょうぶ がんばれるよ」

風に吹かれて飛んでゆくタンポポの風景がとても美しい作品。優しさを感じさせてくれる作品でもありました。今回は佳作一歩手前で。



++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

すずめの親子と遭遇しました。おかあさんよりも大きなこすずめ。羽をパタパタさせておねだりする姿が愛らしすぎて。
一雨ごとに一気に伸びてゆく草の背丈。あちらこちらで、いのちの姿を感じるこの頃でした。

みなさま、今日も一日おつかれさまでした。

編集・削除(未編集)

ロケットBBS

Page Top