三浦様 評のお礼です。 荒木章太郎
本作「ロックンロールケーキ」を真正面から読み解いて下さりありがとうございました。その上、甘めの佳作の評をいただき感謝致します。1969年生まれのロックシンガーだった男性が主人公でした。幼馴染の女性と二人の前に立ちはだかる権力の壁を打ち破り、「Love and Peace」を掲げて社会変革を目指しましたが、彼は1980年代に挫折しました。本作では挫折以降の表現が難しかったです。この詩は、壁を打ち破るための暴力性(尖ること)がテーマでした。誰も傷つけずに誰かを守れるかという葛藤です。主人公はロックミュージシャンを諦めて、誰も傷つけることのないだろうパテシエの仕事に変えるのですが、彼女から「結局一番を目指す」という行為そのものが競争社会に迎合していることで、暴力性は変わっていないのではと彼女に揶揄されたのです。たまたま、ロールケーキを食べながら、テレビで故内田裕也さんの家族を特集していた番組を観ていた時に思いついた作品でした。