刹那 喜太郎
もしもね 僕のことを思い出すたびに
辛く感じるのなら
どうか忘れて下さい
サヨナラの後まで 君を苦しませたく無い
水の入ったコップ リストカットして
一滴の血を垂らす
まるで泳ぐような君の雫
僕は人差し指で軽く混ぜる
うっすら色づいた水を飲もうとしたら
君はコップを取り上げて止めたんだね
もしもね君のことを思い出すたびに
幸せだったと感じるなら
生きた価値はあったんだよ
サヨナラの後も 僕は幸せに包まれる
僕が撫でる君の両の手首
数多の傷跡でザラザラとしているね
いくつ目から僕の為の傷になったんだろう
真似て僕もしてみた時
君は泣いて止めようとしたけれど
今度こそはと覚悟したつもりだったんだ
でも流れた血の色は同じなのを見て
僕は幸せに包まれたよ
君は悲しみの涙の中に溺れてた
痛みは救いになり
痛みは証になったけれど
君は別れを決めたんだね
サヨナラするけれど
君は僕をどうか忘れてね
僕は君をきっと忘れないから