ジビエの哲学 荒木章太郎
異文化交流のはずが
文化遺産相続争いに
巻き込まれてしまった
まいてかき混ぜる時間と
地球の自転の速さが
ずれてしまって格差が生じる
怒りに満ちた
格差社会だ
揃えようとするから
こだわりができる
互いのこだわりがぶつかり
わだかまりの水溜まりができる
その水を掬えば澱む
まるで獣のようだ
シビアな掟に
痺れる野生
勝つか負けるか
互いが消耗して
まるでジビエになる
獣の心昇華させ
清らかになる君の輝き
そんな輝きを消化して
消費して僕の輝き
互いにえげつのない
非人道的な振る舞いを隠した
まるでフォアグラの
レシピのようだ
執着で汚れていたから
みえる所ばかりピカピカに磨いて
歪な光を放っていた
互いに台所はみせあわず
笑顔を取り交わす
口角が右上にひきつっているのは
上に住んでいる人が仕掛けた
釣り針に食らいついたからだ
互いに食べる所はみせあわず
約束を取り交わす
契約社会だ