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スレッドNo.5764

ローカル線に乗る  こすもす

ある休みの日
どこかに出かけようと思い立つ
今日は街には行かず
ローカル線に乗ることにした

近くの駅には
街に行く線のホームと
ローカル線のホームがある
しばらく待っていると
一両編成の列車がやって来た
ロングシートに座る
ほかの乗客は学生二人だけだった
山と川の間を縫うように走ってゆく
雲ひとつない青空だ
窓を開けると爽やかな風が入ってきた
川辺には色とりどりの花が咲いている
まるで絨毯のようだ

これといった目的もなく
ただ列車に乗っている
通勤で電車に乗っている時は
スマホで何かを調べているか
疲れて寝ているかのどちらかだ
風を感じたり
外の景色を眺めることはない
列車の揺れが心地よかった

一時間ほどで終点に着く
学生たちは途中の駅で降りていた
帰りの列車の時間を確認する
二時間後のようだ
駅を出て町を散策する
来たことのある町だが
前にいつ来たのか思い出せない
案内板にあった城跡と博物館に行ってみた
時間がゆったりと流れている

駅に戻ってきた
帰りに乗るはずだった
列車の時間はとうに過ぎていた
ホームで一人列車を待つ
夕日はもう沈みかけていた
「こんな時間があってもいいな」
また乗ろうと思い家路につく
心がオレンジ色に染まっていた

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