ローカル線に乗る こすもす
ある休みの日
どこかに出かけようと思い立つ
今日は街には行かず
ローカル線に乗ることにした
近くの駅には
街に行く線のホームと
ローカル線のホームがある
しばらく待っていると
一両編成の列車がやって来た
ロングシートに座る
ほかの乗客は学生二人だけだった
山と川の間を縫うように走ってゆく
雲ひとつない青空だ
窓を開けると爽やかな風が入ってきた
川辺には色とりどりの花が咲いている
まるで絨毯のようだ
これといった目的もなく
ただ列車に乗っている
通勤で電車に乗っている時は
スマホで何かを調べているか
疲れて寝ているかのどちらかだ
風を感じたり
外の景色を眺めることはない
列車の揺れが心地よかった
一時間ほどで終点に着く
学生たちは途中の駅で降りていた
帰りの列車の時間を確認する
二時間後のようだ
駅を出て町を散策する
来たことのある町だが
前にいつ来たのか思い出せない
案内板にあった城跡と博物館に行ってみた
時間がゆったりと流れている
駅に戻ってきた
帰りに乗るはずだった
列車の時間はとうに過ぎていた
ホームで一人列車を待つ
夕日はもう沈みかけていた
「こんな時間があってもいいな」
また乗ろうと思い家路につく
心がオレンジ色に染まっていた