島娘 三浦志郎 6/1
島は今 静か
やさしい夕凪に誘われて
わたしは残る
友だちの多くは
島を出て都会に行く
ある人から
母校のために
歌が贈られた
それは
出る人
残る人
それぞれの心に届くもの
わたしは残る
その歌を
朝に夕に口ずさみ
島が華やぐ
美しい春と夏
ここには
日々を過ごすに
すてきなものがある
その全てを愛していこう
海に遊び
森に分け入り
多くの生き物や植物と共に
自分自身を育てよう
たったひとつの信号機
今日もまじめに働く
人も車も自転車も
あまり通りはしないのに
たとえ限られた天地でも
清らかに生きる道はある
わたしは残る
友だちの多くは
都会に行ってしまった
わたしは今も
島の娘
できれば ずっと このままで―