成長過程のひとときを 白猫の夜
じりじりと照る日差しの中
公園のベンチに腰掛けて
抹茶フラペチーノに口を付けて
苦味の連鎖で青春を思う
それはきっと些細なこと
例えば似たような名前を見たとか
貴女が好きだったお菓子を見たとか
その程度の気にし過ぎだけれど
けれどね 私
忘れられない
言葉のなまくらで突き刺された
今でも残った傷跡が
ちょっとしたことでズグリ ズグリ
疼いてしまってしょうがない
ぎゅっと胸がつかえてしまう
ひとくち以降飲めなくなった
あの頃よく飲んだフラペチーノ
まだ……まだ時間がかかりそう
いつの日か
貴女の幸せを祈れるようになったなら
それはそれは大層な
素晴らしい皮肉になりましょう
だからそれまでは
ぐっとひといきに
抹茶フラペチーノを飲み干して
ピリピリと苦味が舌を刺して
研修中のアルバイトさん
きっと分量を間違えたのねとか
いいえこれは私の弱みよとか
あれこれ考えて考えて考えて……
涙をはらって
ぱっと見上げると
それはそれは綺麗な青空
雲ひとつないほどの快晴で
ちょっとお行儀が悪いのだけれど
八つ当たりくらいさせて頂戴
あーあっ!
憎々しいほどの晴天ですこと!
ガコンとゴミ箱に綺麗に入った空の容器に
ちょこっとだけ溜飲が下がった
そんな夏のある日のこと