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スレッドNo.5800

感想と評 5/30~6/2 ご投稿分 三浦志郎 6/7

1 こすもすさん 「ローカル線に乗る」 5/30

調べると、1両編成の鉄道は数少なく、実名を挙げても取り留めもなく、又は、想像上の路線とも考えられます。それらは“ともかく”と致しましょう。
少ない乗客、美しい風景、レトロな気持ちと時間。そんな風情が窺い知れます。帰りの時間の列車が2時間後というのも凄いものがありますねえ。しかし散策には良い時間。思わず長居をしたようですが、それも好ましいものだったのでしょう。終わり3行が最も詩的です。以前、鉄道好きといったコメントがあったように思います。時にシリーズ化もアリかもしれません。初期のファンタジー風、物語風も悪くない。文体はこの感じ。慌てず騒がずのナチュラルさで。今回はどちらかというと、散文的なので、も少し詩的ニュアンスを加味されるといいでしょう。技法としては各種ありますね。直喩、隠喩、擬人法、倒置、省略、体言止め、etc……。今回は佳作一歩前です。


2 森山 遼さん 「ひとつの解脱あるいは夢」 5/31

調べると、ー「解脱」……「何らかの束縛から解き放たれること、己を縛る執着から脱却すること」。一種の仏教用語ですね。
またまた調べると―「モンゴル国」。
このふたつから、この詩に入りたいと思います。まずモンゴル国の諸事情を2連が象徴しているように思われます。次に初連・3連では、そんな国内現状にあっての、作者か想像上のモンゴル人(いわゆる主人公)の心象としての「解脱」といったことでしょうか?初連は具体的事例が思い浮かばないけど、(ああ、なるほどな)といった思いはありますね。思考、それを具現化した書き方は上手いと思います。短い詩に、かなり多く深い思想が詰め込まれている気はします。人生の理(ことわり)、国家、そして自己のこと、それらに対して何らかの気づき、悟ることがあったことを伺わせます。ただ、それがあまりに”氷山の一角”的で、僕を含む読み手はなかなか中まで立ち入れない、というのが現状ではないでしょうか?
確かに、こういった現代詩は存在するわけですが、その浸透度はなかなか難しいというのも現状でしょう。そういった方面で照らしてみると、今回はちょっと気負ったというか、先走ったというか、そんな印象はありました。佳作一歩前で。


3 静間安夫さん 「風景」 6/2

「滅びゆく街」―「消滅可能性都市」という設定があるそうで、調べると、僕の住む県にも、そんな市がありました。人口減少(特に若年女性人口)が原因なのは明らかで、昨今危惧されています。
ここでの表現はそれほど行政的に捉えなくても、ここではあくまで詩的表現と認識しましょう。
そして本作は実景と想像、どちらに取って読んでもいいでしょう。6連までが序論。それ以降が本論でしょう。ごくシンプルに図式化すると……

今は寂れた街の佇まい→(想像力)→かつて繁栄した風景。

全篇、この図式に沿って語られています。ひと言で言うと、「古き良き昭和の風景」となりそうです。ここで“ものをいう”のは、図式中央の想像力です。それによって、昔の姿が事細かく抒情的に再現されます。
この詩には、もうひとつ興味深いところがあって、またまた図式。

大自然の風景≦街の今昔風景

こういった点ですね。静間さんは「大自然の風景は~~もちろん美しいとは思うけど」とある通り、
是非ではなく、好み、興味、傾向のことを言っているのですね。それをもたらすのは想像力である、としている。
終連がその代表連です。描写と同時に自己の傾向も確立されている、ということです。
そういったものを含みながらも、読みどころはやはり過去の風情にあります。 佳作です。


4 白猫の夜さん 「成長過程のひとときを」 6/2

タイトルで、まず思ったのは「成長過程」という論述風の言葉と「ひととき」という優しげな言葉の組み合わせの妙ですね。
さて、今回の評は調べるほうも忙しい(!?)。そも「フラペチーノ」とは何ぞや?
「ス〇ーバッ〇スで売られるコーヒーとミルク、クリームを氷でミキサーにかけたフローズンドリンク」と出ました。抹茶味もちゃんと載ってました。
確認がてら書くと、全体の口調からすると主人公は女性。相手は「貴女」とあるから、女性。つまり女性同士のアフェアーと捉えて、い・い・ん・で・す・よ・ね? それも相手と、あんまり前向きではない事情があったようです。もっと言うと、確執のようなこと?3連と5連あたりに、それを端的に感じます。しかし、それから少し時間が経ったようです。そんな記憶のほろ苦さとフラペチーノの苦みがリンクするかのようです。終連近くからは少し気分転換。終連は「一矢報いたり!」といった爽やかさか? 詳細な事情は明かされませんが、それはそれ、これはこれ。今の気持ちを表現してユニーク。ただ、内容とタイトルはどう繋がるんだろ? 苦み、口直しに甘め佳作を。


評のおわりに。

紫陽花が見頃を迎え、紫陽花が雨を呼ぶ。 
では、また。

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