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スレッドNo.5807

旅立つ日に 津田古星

梅雨明けの日
旅立つ母の棺には
庭のローズマリーの枝を

夏の日差しにも冬の霜にも耐えて
青々とした葉を茂らせる
我が家のローズマリーの枝には
七月 可憐な水色の花が咲いていた
耐え忍んで働き続けた人の一生を
今は肯うことができる
あなたの娘ゆえに

秋晴れの日
旅立つ父の棺には
茶の木の枝を

春には新芽を摘み 夏も冬も緑濃い葉を
父が守り育てた茶の木の枝には
十月 慎ましい白い花が咲いていた
野良に生き 地位も名誉も求めなかった人の一生を
今は誇ることが出来る
あなたの娘ゆえに

いつかわたしが旅立つ日には
わたしの棺には
誰が何を入れるのだろう
願わくは
わたしが幸福を願った人達から送られた
手紙の束を

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