不安という霧 こすもす
ある時
ふと襲われることがある
不安という霧に
他人が発した何気ない一言
忘れていたことを思い出した時
どれも些細なことだ
きっかけは
霧が自分の周りを漂い始める
両手で払おうとするが消えない
ますます濃くなる
色も白から黒へと変わってゆく
もがけばもがくほど
辺りは見えなくなり
身動きがとれない
焦りばかりが募る
自分を見失う
途方に暮れて仰ぎ見る
霧の切れ目から
空がわずかに見えた
すかさず飛び上がる
心は高く昇ってゆく
眼下には
霧が広がっている
一目でわかった
濃さや色が
上から
静かに眺めていると
やがて風が吹き
霧は晴れていった
そうか
これが
自分の心を
冷静に
見つめる
ということか
再び大地に降りた
霧はもうどこにもない