移り気 白猫の夜
カーテンがゆれる
ひらひら ふわふわ
外に出れない私を誘って
暗い部屋に光を招く
ひらりと布をめくってみて
目に入ったのは紫陽花の花
夜のあかりにつゆが光って
どこか悲しげな青の花
そういえば葉っぱに毒があると
どこかで聞いたことがあって
これは興味本位なのだけれど
もしかしたらっていう試し行為
カランッと窓を開けて
てをのばして ひとちぎり
そのままぱくりと飲み込んで……
よぎっているのは愛しいあなた
私のところへ来なくなった
どうしようもないクズなあなた
毒を喰らったって言ったらあなた
またここへ帰ってくれるかしら
あなたを愛して毒まで喰らった
私を愛しいと思うかしら
……なんて
知っているわ
わかっているの
あなたの心はもうすでに
私のところへは向かわない
けれど私も等しくクズで
いつあなたが来てもいいように
ここからはきっと出られない
紫陽花の花の色が変わってしまっても
私は多分ここにいる
窓をしめて
カーテンを閉めて
また暗い部屋に逆戻り
紫陽花の花は夜空に照らされ
ふんわりふんわり
ゆれている