表彰とか 多年音
快晴の日は
雲一つないから
美味しそうな雲を探せなかった
それならばと下の景色を覗いても
校庭と花壇しか映らない
そういうのは形が一緒だし、動きが無かった
だから快晴の日は僕にとっては雨の日と一緒だった
そんな時の時間稼ぎを思いついたのはもっと後だ
消しゴムをわざと削って捏ねる
その技をその頃はまだ習得していなかった
だから景色を見るしかなかった
あらゆるものを目で追った
四角い景色の隅から隅を
順番に視線で塗りつぶす
塗り終えたら反回転、反回転
とめどなく探して反回転、反回転
そういう風にしていたから気づいた
「あれ、人がいるよ」
そう呟いた
その一声のおかげで僕は表彰された
そいつしか動かなかったから気づいただけなのに