さようなら 白猫の夜
今生は仕舞いにしたいんだ
そう言ってあなたは華麗に散った
綺麗な宝石の最期のように
あなたの命はパキンと割れた
だからまわりに杉の葉を散らして
マッチを放って火をつけて
開ききった瞳を閉じてあげて
もう息をしていないあなたのそばに
私も身をよこたえて炎の熱さに瞳を閉じる
先に逝くなんてひどい人
しょうがないから私ひとり
ここでひたすらに眠り続けて
ただひたすらに迎えを待つわ
なんだかんだ言いつつも
あなたはきっと待っていてくれるから
川のほとりで困ったように微笑んで
そっと手を握ってくれるのでしょう
どこかで無粋な喚き声が聞こえて
あなたをここへ追いやった彼らに
うっすら殺意すら湧くけれど
けれどね もういいの
あなたがきっとわらっているから
だから もう 許すことにしたの
……
ね
あなたが綺麗な世界では息が出来なかったのなら
わたし
世界は汚れたままがよかった
……なんて ね