公衆電話のつぶやき こすもす
私は街の通りにある
電話ボックスの中にいる
最近は誰も私を使おうとしない
みな目の前を通り過ぎてゆく
とにかく
毎日が暇で仕方がない
街の人々を見ると
みんなスマホで
電話したりSNSをしている
私の出番などないわけだ
わかってはいるが
少しいじけてくる
そんなある日
多くの人たちが
私のもとに押し寄せてきた
順番に並んで
取引先や恋人などに
次から次へと電話をしている
忙しくて目が回りそうだ
それにしても
一体どうしたというのだ
しばらくして
その理由がわかった
ある携帯電話会社の
システムがダウンして
多くの人がスマホを
使えなくなっているらしい
まだしばらくは
こういう時のために
私は必要だということか
少し誇らしい気持ちになった
ただ
システムは夜には復旧するようだ
やれやれ
また明日から
どうやって時間をつぶそうかなあ