星の夜明け 白猫の夜
星をめざして
夜空への階段を登って行くの
一段 一段
足を離したら消えていく
乳白色の星の階段を
一段 一段
登っていくの
足元を見ればはるか遠くに
月が照らす海原が見えて
波止場で誰かが
僕に向かって手を振っている
振り返してみようか
おおきく おおきく
はるか上の星に負けないように
波止場の誰かに気づいてもらえるように
おおきく おおきく
振り返してみようか
波止場の誰かは一瞬腕を止めて
だけどもういっぺん
おおきく おおきく
それはもうおおきく
手を振り返してくれたのです
どこかしら心が軽くなって
ふと 前を向くと
いつのまにかてっぺんに着いていて
のぼりきった先に広がる
細かな星の欠片たち
少し名残惜しい気がして
最後の階段に留まって
ちらっと波止場の誰かを見ようとすると
キランッと誰かの涙が光って
その雫が海の底へ落ちていって
それを手のひらですくうかのように
ふわりと 陽が顔を出しました
輝く星々を包みながら
太陽は朝を知らせます
星々は太陽に包まれながら
それそれが大切な人を眺めて
シャランと笑顔を浮かべます
僕も一緒に包まりにいこうと
波止場の誰かに大きく手を振る
最期の階段から足を離して
僕も夜空へ仲間入り
あぁ……眩しいね
ほらみて!
誰かの夜が明けたよ!