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スレッドNo.5912

あの雲

あの雲の 
あの時の
あれは波 
空の海
ひとり 
波にのみこまれ
天から見下ろせば
あなたたち 
ふたり
別々の場所で
見上げていた

あの時
あなたたちふたり
それぞれ感じた
ひとりぼっちが
静かに
激しく
うねる波を
あの空に
起こした
そして
わたしだけが
あの雲の見つけて
波に飲みこまれた

別々の場所で
同じ空の海を
見上げる
あなたたちふたりの
笑みの消えた顔を
うねる波の隙間から
見つけたのも
わたしだけ

お互いの存在を
知らぬまま
同じ表情で
同じ空の海を
見上げている
あなたたちふたりを
包もうと
わたしひとり
両腕を広げたら
新たな雲の波が
速く
または
遅く
押し寄せてきて
波打つ雲が
ひとつに
繋がった
その時
わたしは
見逃さなかった
雲に飲こまれたままで
雲の波に揉まれながら
わずかに
あなたたちの口もとが
にんまりと
動いたのを

そして
そのあとは
たぶん
この雲の波は
この空の海は
誰にも見つけらず
うねって
消えていくのだろう

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