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スレッドNo.5922

三本の煙突

土手から見える対岸の煙突
三本並び白い煙が風に揺れてる
四畳半のアパートの窓からも
買い物の商店街からも
あの煙突の下で働き
疲弊した身体で帰る時も
何処からも視界に入る煙突
いつかきっとこの町を出て
煙突の見えない街に行くんだと
油にまみれた手を眺め握りしめた拳だった
そんな拳もシワが増え脂汚れは染み込んで拳を作る力も無く
ただ食欲の為の箸と酒を飲むコップを持つだけ
彼女の残した花瓶の花は
もうとうの昔に水は無くなり
干からびて茶色くうなだれて
思い出をたぐろうと触れただけで
記憶のように粉々に床に落ちていった
床から見上げた窓には
向こうに三本の煙突が見えている
明日もいつもの時間に起きて
あの煙突の下へと向かうのだ
何故か思い出を手探りしてみた休日
そこには床に散りばめられたカケラたちが
思い出は儚く遠い遠い昔なのだと教えられた

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