永遠の伸縮 温泉郷
最初はお月様
いい香りの
珈琲と休日
ごめん!
少しこぼした
カーペットに
「なんてことを!」
突然の変調
乱調の兆し
こちらの血管も過熱
言い返す?
言い返さない?
でも
また 壊れてしまっては
**
ごめんね…
涙をためた瞳
の先に
カーペットの
褐色のにじみ
がちょうど
君のすきだった
白猫の
柄を汚していた……
わたしは
心の急制動
車椅子を押してくれた
あのときの
手の優しさ
ほめられた
窓際の
よく育った豆苗
君はしずかに
カーペットの
汚した猫を
拭き始める
とても しずかに
食卓のゆで卵の
ちょうどいい硬さ
君との距離は
星の輝きと
ブラックホールの間の
繰り返す
永遠の伸縮