泣き声 相野零次
もうわからない何もわからない詩の書き方も歩き方も死に方も
いつからこうなのか昨日からか今日からかずっと前からか
カラスがカァカァと泣くカエルがケロケロ泣く鳩がぽっぽと泣く
そうか僕も泣けばいいのかおぎゃあおぎゃあぐすんぐすん
おかあさん僕から何かが生まれそうです しろいかたまりが
それはどうやら人のできそこないで本当なら生まれてくるべきでは
なかったにも関わらず生まれてしまったのです こんな不完全なパパの子供が 僕は途方に暮れて列車に乗っている こんなものはどこかへ捨ててこようと思いその瞬間またそのかたまりがなくのだおぎゃあおぎゃあ 僕はその白いかたまりをぎゅぎゅ!っとしてもういちどぎゅぎゅぎゅ!っとしてやると手の平に収まるサイズとなった 小さくなったしろいかたまりはきゅんきゅんくすんくすんと泣いた 僕はいつのまにか列車のなかで眠ってしまったようだ 親切な女性が僕を終点ですよと言って起こしてくれた その女性は心配そうに僕に大丈夫ですか?と告げて大丈夫ですよ。というと少し哀しそうに微笑んでその場を去った どうやら僕は眠りながら泣いていたらしい どんな泣き声だったのだろうか……けほっ