夏が行ってしまったから 紫陽花
あなたは、うつろう誰かが寝汗をそっと乾かしたことにも気づかないで
暑すぎたこの間のことも忘れて
少しゆっくり起きて薄茶色の朝を散歩してる
忘れてしまうよね、 あんなに夢中で蛍を花火を毎日色んな所からほとばしる夏を追いかけたけど
だって 鳴き疲れたあの蝉時雨達は眠り
海の青を愛おしく抱きしめ踊った
四つ葉模様の海月は浜辺に置き去り
焼け付くような日差しと歩いたあの天使の散歩道には影法師がぼんやりと伸び
きらきらの光であなたを呼んだ硝子石達は
うつろう誰かが隠してしまったみたいで
ほら、防波堤の海亀の甲羅に物憂い光が差して碧い海の底の虹色魚を想うよ
夏の最後のさよならが
水平線に夕日と混じる頃
麦わら帽子にめいっぱい詰めた
原色の夏も色褪せて
うつろう誰かはそんな夏を静かに深く塗りなおしていく
夜の闇を指1本分ずつ増やしながら