MENU
1,430,211

スレッドNo.6009

評、7/18~7/21、ご投稿分。  島 秀生

暑いですねえー ともかく体温超えはやめてほしい。

なんか、年々暑くなってますよねえー

近未来、ニュータイプが生まれるとしたら、
知能ではなく、温暖化対応人間、ということではないだろうか。
40度なら涼しい、50度まで平気、とか……。

(注*ガンダムは操縦できません)


●相野零次さん「泣き声」  

おもしろいんじゃない? 幻想的な中にも心の核に向かっていくような(あるいは闇の中心に向かっていくような)、情念を感じる。
なんていうのか、決して言葉遊びしてるんじゃない、一つの確かなベクトルがある。
とりわけ列車に乗ってからのシーンがいい。いうと、列車の中っておとなしくしていなきゃならないプレッシャーがある場所なんだけど、場に反するように取り乱してるのが、とてもドラマチックであります。また、タイトル「泣き声」としているとおりに、「泣き声」で一つのトーンは守ってるので、画面が乱れてるように見えても、ベースの線は一本繋がっている。
ちょっと荒削りな書き方になってしまってるけど、読むべきものがある。秀作を。

ただし、最後の「……けほっ」はいらないです。おちゃらける必要なし。


●多年音さん「推敲」

いや、実際、拝見する詩の中には、この詩、2つの詩に分けた方がいいんじゃない? 3つ詩に分けた方がいいんじゃない? みたいな詩に出会うことはあります。別々になるだけで、捨てるとは限らないですけどね。
ただ、一つの詩の中に複数テーマが混在してると、互いにつぶしあう、どっちもはっきりしなくなる。という現象が生じることがあって、その場合はあんまり良くないんですよね。その場合は、通常、どちらかに絞ることになります。
ただし正と副にポジションをわきまえることによって、2つを共存させられる場合もあるのですが、この場合、少し腕がいります。

また、テーマを1つに絞った場合でも、個々の詩行は、直接的に寄与する詩行ばかりでなく、間接的に寄与する詩行があって、一見ムダに思えても、置いておいた方がいい詩行もあるんで、ケースバイケースですよね。難しいです。まあ、奥が深いから、楽しいってとこもあるのですが。

作品ですが、彫刻に喩えて、推敲についての考えを整理されてるのは、おもしろいですね。詩の書き方は人によって違うんですけど、日々の中で、気がつくたびに、たとえ1行でもこまめにメモってる人もいますよ。ただそれはあくまで材料集めであるので、やがて一つのテーマ、一つの考え、一つの方針が沸いてきた時に、集めた材料の中で使えるところは使って、一本のものにまとめるわけです。あるいは、材料を集める中で、もし考えを大きく膨らませるものがあれば、そこで一本のものを書き上げてしまうのもアリです。
拾うことはとてもいいんですよ。ただ、拾うことが=いつも1つの詩、であるのではなくて、拾う段階では、玉石混交状態で拾ってるので、もうワンステップ置く必要があるということです。

話、戻りますが、彫刻に喩えて、考えや迷いを伝えてきたところは良かったですよ。終連は、ちょっとユーモアも含ませてくれてる気がします。可能性を感じさせる詩であります。
まあ、意図しないところでアタリが出ることもあるので、あんまり自分で削り込まないで、長めに書くようにして下さい。
まずは、秀作一歩半前から。


●温泉郷さん「世界遺産の欠伸」  

おお、これは旅行記ではないのでしょうか?
すごくリアルなので、本当にそこに行かれたと感じる。
凄いなー、現地はそんな感じなんだ。遺跡の1つ1つを、作者が歩き、触れた肌感覚と現場ならではの掻き立てられる想像力で描いてくれています。行ったことがない私にも臨場感を共有してくれるがごとくです。これ、読むだけでトクしちゃいますね。
ツアーの団体で行ってる感じですけど、団体でスケジュールに従ってあちこちに行く、ある意味、限られた時間内で鑑賞してる感まで、伝わってきますよ(なんか均等だし)。
そして、古代へ馳せる想いを邪魔するように、どこに行っても、我が物顔の猫がいる。
「こげ茶」「縞模様」「黒白の…尻尾」「茶白」などに表現された猫だちが鑑賞の前を、横切ったり、寝そべったりしている。そのたびに客の視線はそらされる。登場のさせ方も、ひと工夫あって、おもしろい。
規模は違いますけど、人を恐れず、我が物顔にうろついてる猫が町中にいる感じは、尾道に似てるなあと、あそこの猫の様子を当てはめて想像すると、とても腑に落ちるものがありました。猫って、国は違っても、性格一緒なんでしょうね、きっと。

ともあれ、邪魔者も含めた、古代ギリシャ都市の観光気分をリアルに味わわせてもらいました。そこが大半ですが、
加えて付加価値をいいますと、トランプさんが、ユネスコへの資金援助をカットしました。そのことへの批判も、暗に含んでいるように思えました。

付加価値も加えて、名作を。


●上原有栖さん「聴こえる/感じる/知るその先へ」  

うむ、いいじゃありませんか!! いい詩ですね。
前の2パートをしっかり書いていることが、後ろ2パートのテーマ性を引き立たせています。また、後ろ2パートも(本題に入ってきてからも)焦らずに、キレイに着地されていると思う。
いいですね。名作&代表作入りを。
現状、上原さんの最高傑作ではないでしょうか。

眼を閉じてみること。眼をとじて耳を研ぎ澄ませて想像すること。遠くを想像することで聞こえてくるもの。世界にはもっと知らなければいけないことがあること。ある意味、起承転結をキレイに展開されていて、それがキレイに嵌まってます。

想像のモノクロ風景が
頭の中で鮮やかに彩られていくでしょう

このフレーズもいいですね。
やはり最初にロケーションを定めて、そこの聴覚で捉えられるものをきちんと描いてから、しだいに世界を広げられていくところがいい。まずもって前半で、ぐっと掴んでくれます。

タイトルも、この詩の展開とテーマ性を暗示していて、ステキにつけてると思います。
うむ、とてもグッドな一作でした。


●aristotles200さん「孤塔」  

おもしろいね。
アイロニーのようであり、警鐘のようでもある。また、ある種、自身の人生観を述べたようでもあります。
前・後半分けたのも正解ですね。ストーリーがくっきりしました。
文体がやや硬めなんですけれど、今回は登場人物が硬めの人物だったので、幸いちょうどマッチしてると思いました。
「孤塔」というタイトルも良いね。
うむ、現状、aristotles200さんのベストパフォーマンスじゃないでしょうか。名作あげましょう。

ちょっとだけ言うと、
「鬼なので無傷」は、クスッと笑ってしまいました。比喩的に「鬼みたいに」だったのが、いつの間にか、本当の鬼になってしまったというのは、そこはまあ繋がるからいいんですけど、「鬼なので無傷」は、論拠なくポンと漫画的に来たな、と飛躍感があったので、(ユーモアで書いてるようにしか受け取れなくて)笑うしかなかったんですけど、まあ詩のことなので、この長さの中でもあることだし、一ヵ所くらいかまわないです。
まあ、他が真面目なストーリーであることを思うと、「気絶していた鬼が眼をさまし」くらいにしておいた方が順当ではあります。
あと些細なことですが、前後半分ける時に使ってる「※」は、詩の場合、センタリングだと、下に下がりすぎるので、行頭から1文字落としか、せいぜい3文字落としの位置でいいと思います(行頭に置く人もいます)。ともあれ今の位置はちょっとマズイです。

編集・削除(未編集)

ロケットBBS

Page Top