新品の電池 多年音
押入れ掃除不意にみつけた
小学生の時の理科の工作キッド
簡易的な車と乾電池一本
淡い期待で電池を投入
でもやっぱりダメだった
電池をセットしてしまったのは
乾電池が新品同然の姿だったから
走る姿が想像できたから
「私は満タンの電池ですよ」
簡単に化かされてしまった
でも、仕方ないんじゃないか?
言い訳するように新品の電池を持ってくる
いや、仕方ない
双子の電池は綺麗に並ぶ
紙箱に二つとも詰めて攪拌する
これは、仕方ない
2分の1
どっちが新品かなんて当てようがない
中身は全く違うのに
満足して
車にセットして走った方を電池置き場に戻す
手元に残った電池を翳してみる
電灯に照らすとキラリと光ってみせる表面は
何も違わない
見つめても見つめても。
今回みたいにちっぽけな場合ならいいだろう
外側だけ見えるなら
もしお前が宝石だったら酷かっただろうな
内側は見えないなら
もしお前が爆弾だったら酷かっただろうな
そんな教訓に免じて、
騙した事と
押入れ掃除が終わらなかった事は
寛大に許してやった