軌跡 喜太郎
靴の底は擦り減りすでに穴が開き
靴下も抜けて足裏には血が滲んでる
一歩踏み出すたびに痛みが頭に刺さる
それ以上に足が重い 重すぎる
疲れただけじゃない 辛すぎる
声援なんておくる人もいない
歩く道が荊なだけならまだしも
過去の後悔と未来の不安が
有刺鉄線のように身体にまとわり付く
倒れてしまえば痛みは一瞬で楽になれるか?
いつからかこんな事ばかり浮かんでくる
歳のせいにするのか?
社会のせいにするのか?
時代のせいにするのか?
選んだのも決めたのも
そして何もしなかったのも自分だと分かってる
でも過去の自分を責めてみても
全ての選択を変えたのなら楽な道を歩めたのか?
そんな事はない………そんなはずはない
カウントダウンの声がかすかに聞こえてる
入り口はそう遠くないところまで来ている
絡まる有刺鉄線も底の抜けた靴も血の滲む痛みも
あの頃は自分なりに懸命に選んだ結果なら
意地を張り通して前に足を出せ
痛みのたびに歩んだ跡は赤く残っている
生きている実感