路の標識 喜太郎
この道を進みたいと踏み出せば
進入禁止の足止めくらって
結局は対向車も来ない
広い一方通行に入り込む
分かれ道に立ち止まれば
指定方向外進行禁止で
また矢印通りに進むだけ
今度は走り抜けるぞと意気込めば
追い越し禁止の黄色いラインが歯痒くて
結局は一時停止の『止まれ』が行手を阻み
駆け足もノロノロと渋滞の中
走り疲れて一度立ち止まりゆっくりしたくても
駐停車禁止が進めと背中を押してくる
でもやっと気づいたんだよ
どの標識も頭の中の道に取り付けたのは自分だと
切り開いた道はあったのだろうか
ただ漠然とした道の中に標識を思い浮かべて
誰のせいにも出来ないと気づいた時には
時間はあまりにも無情
もう標識も無い一本道をひたむきに歩いている
やがて見上げる案内標識には
何が書かれているかも想像はつく歳になっている
振り返ると懐かしさを感じるのは
きっと自分なりに懸命に標識を建てたのだろうと
過去の自分を慰めることができるから
これからはゆっくりとこの一本道を
自分の好きな歩幅で景色でも眺めながら歩いてゆこう
標識なんかいらないさ
あえてこれからでも道を切り開いてみようか
きっと足元の小石にでさえ
何かを感じれるかもしれない