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スレッドNo.6120

備蓄水  上原有栖

 (午前二時)

蛇口を捻って
ペットボトルに水を満たしていく

容器が嘘偽りなく一杯になると
水滴を綺麗に拭き取ってから
丁寧に日付を書きつけた

冷蔵庫には透明なボトルが
棺桶のように十本並んで 静かに眠っている

新しいボトルを仕舞い込み
十日前の冷えきった記憶を取り出すと
流し台に向き合った

排水口を流れていく水には
もう要らない透明な感情が
最期まで寄り添って渦巻いている

終始無言を貫くのは
静寂の王が夜を支配しているから

 水を貯めてそれから捨てる

この単純な行為が
私にとって一種の『儀式』となっていた

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