飛行機 相野零次
最近ひどく疲れている。人生っていう難しいゲームに一人で立ち向かっていると、ときどき死にたくなるほど辛くなる。
そんなときにいつでも話せる仲間がいればいいのに、今の僕には見当たらない、いや、見逃しているだけかもしれない。
どちらにしろ、僕は一人だ。
飛行機が空から落ちてきて誰かを助けなければいけないとき、僕は誰を助けるだろう。パイロット? キャビンアテンダント? 乗客の誰か? 誰を助けるにしろ、僕は打算するだろう。誰を助ければ自分が一番得をするのか、後で有利になるのか、眼の前の混乱を遠くから見ながらそう考えるだろう。そう、僕は冷たい情のない人間なのだ。
それにしても疲れる。いっそのこと死んでしまえば楽になれるかもしれない。
そうだ、誰も助けなければいいのだ。自分のことすらも。でもきっと正義感とエネルギーに満ちた誰かが助けてくれるのだろう。
そのとき僕は、「ああ、助けてくれなくてよかったのに」と心の底で思いながら、表面上は「ああ、助けてくれてありがとうございます」と涙を流しながら喜ぶのだろう。僕は最低な人間です。