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スレッドNo.6162

トンボ  喜太郎

トンボが死んでいた
九月だと言うのに 暑さは厳しくて
きっと暑さに耐えられなかったのだろう
そう勝手に判断して納得して
手のひらに載せた
歩道脇の植え込みに小さな穴を掘り
トンボを埋めた
驚いたろう?この暑さに
陽の長さは秋の気配なのにね
日差しの暑さは夏のままだ
秋の空を飛び回りたかったのかな
この都会じゃ それも寂しいな
植え込みの土もカラカラで
手に残る土を立ち上がりながら払い落とす
誰も彼もが何かを背負って
誰も彼もが何かを落として生きている
季節の移り変わりも時差のようにズレてすれ違い
衣替えもいつになる事やらと考えている
そんな自分もトンボの死を軽く見ている
可哀想だから?ほっとけば良いのに
なぜ墓穴を掘ったのだろう?
きっと自分も この季節感の無さの暑さに
まったく持って関係のない寂しさを感じたからなのだろう
自分の心と体の感覚も 全くズレている
爪の中のわずかな土も
帰宅後の入浴できれいに洗い流すのだろう
今日の記憶もいつかは忘れるのだろう
ただ それだけのことだから

編集・削除(編集済: 2025年09月10日 06:46)

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