悲しみの向こう側 喜太郎
悲しみの向こう岸に
笑顔があるのなら
辿り着いたら僕の目には
何が見えるのだろう
辛くて寂しくて切なくて
この流れを横切る力なんて
無いんだ
たたずんで流れを見つめてるだけの僕に
『流れが緩やかになるまで待てばいいさ』
誰かが呟いた
僕は大きな岩に腰掛けて
流れる涙もそのままに
ただ待つだけ
時が過ぎ
辛さも寂しさも切なさも
雪解けのようにぽたりぽたりと溶けた時
立ち上がり足を流れに入れた
まとわる流れが穏やかで
また一歩また一歩と歩き出す
まだ向こう岸は見えないけれど
期待が心の中に芽生えた
流れが強くなろうとも
きっと僕は歩ける気がした
向こう岸には何があって
向こう岸には誰がいるのだろう
それがどうであれ
僕は渡りきった
笑える気がした