台無し 多年音
今日は月がない
頼りない星の光だけでは
かき消せない闇の中
一人
冷たさが伝うベランダ
果てしなく続く闇
どこまでも続く闇
もたれかかる柵だけが位置を教える
僕は一人
冷たさが伝うのは心身
内側まで侵す闇
停滞する空気と闇
身の震えさえころしていく
一人
僕は一人
淀んだ闇が喉に詰まる
どうすればいい
闇はいつまで続く
夜が終わっても続くんだろうか
続くのだ
きっと続くのだ
闇は続いていくのだ
きっと続くのだ
闇は続くのだ
息を切らしても意味などない
手を伸ばしても意味などない
ずっと続くのだ
闇はずっとずっと続く
いつまでも続くのだ
闇は続くのだ
轟音
夜の帳を翻して
地平から並進し来る二つの灯り
ヘッドライト!
「偶々近くに寄ったから
遊びに来たよ」
こんな時間に?
マジで、バカすぎるだろ