答えのゆくえ 津田古星
相手の心が知りたくて
問題を解くように
足してみたり 引いてみたり
言葉の裏に隠された何かを
読み取ろうとしたり
そして何とか自分なりの答えにたどり着く
それが正しいかどうか見てくれる人はいない
禅の修行の公案ならば
師が判定を下すのに
恋や友情の公案は
誰も何も言わず通り過ぎる
自分の人生に与えた答えに
誰かの肯定が欲しくなる
自分の問題は自分で解き
自分の答えには自分で判定を下す
これが精一杯だったのだから
努力は認めましょうと
いつでも自分にマルをつけてきた
でも それでよかったのか
都合のよい言い訳ではなかったか
そうやって 人や自分をジャッジする事こそ
もうやめなくてはならないのかも
過ぎ去っていった人達よ
今はただ どうか思い出の中のわたしに
寛大であって下さいと祈る
それさえも虫の良い願いであるような