イルカの少年 荒木章太郎
電脳の海
闇の中
スマートフォンの
画面が青く輝く
いいねを押すと
ハートが灯る
いいねはいるね
いるねはイルカ
僕は君を知らない
君は僕を知らない
ただ安否を確認し
存在を証明している
僕はいつかの少年だった
架空の海を泳ぎ疲れた
君と出会うために
現実の海を泳ぎ疲れた
僕を救うために
僕はイルカの少年だった
今、僕らは歴史の海にいる
名前が呼ばれないことで
存在を否定されたと思うな
歴史を知り知性を育む
考える主体がそこにいる
主体を他人に委ねるな
僕は主体的に君を探す
もう愛されることを求めない
君の存在を愛する
二人は真実を探し続ける
潮の流れに身を委ね
荒ぶる高波乗り越えて
息継ぎをして 引き継ぎながら
闇だからこそ光は輝き
僕らを浮かび上がらせる
青く光る瞳 希望の灯